慢性腎臓病に漢方相談がお勧めな理由②
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腎臓の基本的な事実②
健全なネフロンにろ過機能の負担がかかると機能が落ちる
これはイメージしやすいですね。
たとえば血液のよごれが1日100個出るとして、健全なネフロンが100個あれば、ネフロンは1日1個の汚れを処理すればよいわけです。
ところが慢性腎臓病で健全なネフロンが50個しかないとすると、ネフロンは1日2個という倍の仕事をしないといけないわけです。
さらに健全なネフロンが減って33個になったら、ネフロンは1日3個汚れを処理しなくてはなりません。
お母さんやお父さんが1日1回洗濯機を回して洗濯物を干せばよかったのに、1日3回洗濯機と干す作業をしなくてならないとしたら、それが永遠になったら、もう洗濯を放棄したくなりますよね。
ですから一時的なら良いにしても、毎日毎日たくさんの負荷が数少ないネフロンに集中すると、疲れを起こして最後には壊死します。
実際、先にご紹介した「腎機能の予備能」の論文には次のように書かれてあります。
「腎機能の廃絶には『過剰ろ過説』が深く関与している可能性が高い、残存する腎機能に働きが集中して過剰に負荷がかかると、いずれ腎機能は廃絶するのが一般的な考え方である」
簡単に言うと、健全なネフロンに働きが集中すると一つのネフロンに負担がかかり過ぎて最後は腎不全になる、ということを言っています。
そして残念なことに、腎臓機能の指標であるeGFRが低いほど、それ以降の腎機能の低下の速度がさらに早まります。悪さの程度がひどいほど悪くなるスピードも速くなる。ですから早めに手を打っておくことが何よりも大切です。
腎機能が下がると、その後に悪くなるスピードも速まる?
それは困る!
ですから先ほどの例えでは洗濯機を回す回数が3回ならなるべく2回に、2回ならなるべく1回になるように正常に稼働する洗濯機の数を増やさないといけないということになります。
腎臓の予備能力をうまく引き出して今まだ元気なネフロンが息切れをおこして機能不全にならないようにして長く働いてもらえるように助けてあげれば良い、それが2つ目の腎臓病ケアの考え方になります。
腎臓の基本的な事実③
腎臓以外にも問題がある
これは西洋医学的な考え方が普通の人は違和感を感じる方もおられるかもしれません。しかし本当に悪い状態の人は腎臓だけに問題があるケースはほとんど無いというのが私の感想です。
腎臓が悪いから腎臓だけを見て方法を考えてもうまくいかないことがあります。しかし東洋医学的、中医学的な考え方では腎臓だけ見てもうまくいかないのは当たり前のことと考えられています。
腎臓以外にも問題がある例①
腎臓のネフロンがありまして、ろ過される血液があります。この血液がドロドロしていてネフロンの毛細血管を通りづらかったら、いくら腎臓だけを良くしても、ろ過はうまくいきません。こういうときは血液をサラサラ流れやすい状態にするお手当を同時にする必要があります。(このような状態を中医学では「痰湿痰濁血瘀」と呼びます。老廃物が血液にあふれて血液の流れが悪くなって起こりますから老廃物を処理する内臓を元気にしなくてはなりません。それには老廃物の処理を担当する脾胃(胃腸)の働きを整えて痰湿痰濁を取り除きながら、前述の腎臓ケアをしてあげることになります)
参考:痰湿痰濁血瘀の特徴(体が重だるい、しんどくて横になりたい、天気の前になると体調や気分が悪い、食べるとお腹が張る、ひどいと食べたくなくなる、舌の苔を毎日取らないとしたが真っ白、真っ黄色、苔が厚い、舌の裏側の静脈がボコボコで黒く怒張している、顔色が黒色またはくすんだ黄色で浮腫みがひどい、など)
腎臓以外にも問題がある例②
他には、この血液が酸素や栄養素の少ない血液だったら、腎臓自体に栄養や酸素が回らないので、腎臓のネフロンは普段できる当たり前の仕事量をこなすことができません。よって栄養・酸素たっぷりで血液の質を良い状態に戻してあげるお手当が必要です(このような状態を中医学では「気血両虚」と呼びます。胃腸の消化吸収機能が悪くなっていること、栄養の偏り、栄養の不足が生じて、西洋医学で言うところの貧血に近い。胃腸の働きを良くしながら、補血薬または血液の栄養成分を補充してあげながら、腎臓ケアをすることが大切になります)
参考:気血両虚の特徴(疲れやすい、ひどいと冷え症、汗や出血などが多い、風邪を引きやすい、水を飲んでも太るか、なかなか太ることが出来ない、顔色が白い、肌が乾燥する、爪が弱い、ひどいと夜には目の疲れが耐えられない、精神的に不安や物忘れ、心配ごとが多く、気持ちが焦る、ひどいと不眠や動悸が起こる、など)
上記の例は2つだけですが、他にも色々な弱りや二次的な病理産物によって気血の動きや内臓の働きが阻害されていることもあります。
東洋医学、中医学的に考えると、全身の内臓や器官、筋肉、神経が正常に働けてこそ、普段の体の働きは機能の100%を発揮することが出来、腎臓をいじらずともクレアチニンが下がってeGFRが改善した例もあります。
腎臓単一の漢方治療で良好な結果が得られない方に、胃腸の治療を行って(血液中の老廃物の生成が減り血液がドロドロしなくなって)腎機能が急激に改善した例や、血虚のお手当を併用して(不足栄養素の補充と肺の機能を高め酸素を多く体に取り込んで)良好な結果が得られたこともあります。
- 虚すれば補い = 不足している必要成分は補う
- 実すれば瀉し = 邪魔者があれば散らしてどかす
- 阻滞があれば疎通する = 開通していない通路(血管・神経など)は通りを良くする
体全体、血液、内臓の状態を判断して、腎臓だけにフォーカスしすぎない中医学の原則を元にすることが3つ目の腎臓病ケアの考え方です。

3.結果の根拠
【一番知りたい!】
漢方相談をしたときに良くなった実際の結果は?
どの商品をどのくらいの量と期間飲んで、この数値がこのように変化しました、ということをお伝え出来たらどんなに楽かとどこの相談薬局さんもお考えになっておられると思います。
結論として、データの変化を相談の結果として明示することは薬機法の観点から表示することを許されていません。
店頭にいらしていただいたときに詳しくご説明いたします。電話でのお問い合わせやブログでの検査結果の公開は大変申し訳ございませんが、ご容赦ください。
その代わりに、検査数値が改善した結果を見て内科の先生方が患者さんにお話しされた言葉をいくつかご紹介します。
(病院での処方せんのお薬の他に、当店での腎機能の相談を受けてくださっているお客様に限りました)
例1:80代男性 ご相談の目的:
「透析にはなりたくないので、漢方で何とかしてほしい」
【初来局時の検査結果:クレアチニン1.39 / eGFR37.9】
→食事指導、経穴ツボマッサージ指導、運動療法指導と1か月分の漢方薬を差し上げました。
→その後1か月後に検査結果を持って来局。
医師から「数値が良くなっています。何か漢方とか飲んだでしょ?」と興味ありげな様子で聞かれたそうです。お客様は「漢方を飲んでます」とお伝えしたそうです。
例2:40代女性 ご相談の目的:
「腎機能が落ちてきてた、数か月後に検査までに良くしたい」
【初来局時の検査結果:クレアチニン0.82 / eGFR58.6】
→食事指導、運動療法と、1カ月分の漢方を3回分差し上げました。
→その後、検査の結果が出て、報告をいただきました。
内科医師より「2年前の数値に近い値にまで改善しています」と説明を受けた。(2年前の数値はクレアチニンもeGFRも正常値)
例3:70代男性 ご相談の目的:
「医者からこのままだと透析だと言われたので数値良くしたい」
初来局時の検査結果:クレアチニン1.24 / eGFR44.4
→食事指導(糖尿病もあったので、腎臓と糖尿病の食事についてかなり詳しく指導)と1か月分の漢方薬を3回差し上げました。
→その3か月後、内科医師より「毎回数値が改善していますね、次の検査を僕も楽しみにしています。頑張ってください」と褒められたと、患者さんも上機嫌でした。
これらの言葉は、私がお客様から聞いた言葉であり
主治医が患者さんに話したそのままの言葉です。

最後に慢性腎臓病の方へ
先ほどのような希望を持てる言葉とは全く逆のことばかりを、今の主治医から言われて落ち込んでいませんか?
たいよう薬局へ初めて腎臓の漢方相談に来られる方がよくおっしゃるのは、
実際に何ができるか先生に相談しても、
「野菜や果物は食べ過ぎるないでください」
「塩分摂り過ぎないでください」
「水分は沢山のんでください」
とはおっしゃるけれども、他に何かないかと方法を聞くと、最後は「腎機能は良くなることはありません」と言われてしまって、気持ちが落ち込んでおられた方も多いです。
そういう方は、いつかご相談ください。
- 自分らしく自由に暮らす
- 好きな時に遊び、好きな時に寝る
- 注意しながらも好きなものを少しは食べられる
- 人生を楽しむ
これらのために、腎臓の勉強を続けていきましょうね。
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